激走!中山道315km①長野塩尻→木曽福島(45km)
担当していたラグビーワールドカップ2019日本大会が終わりました。
少しだけ関連残務をしてから1週間の休み。
組織としての締め作業やオフィスの移転があるので終わってすぐ終了という訳にはいきません。
ただ44日間睡眠も削って全力で走って来たので、少しのリフレッシュは必要。
そこで走ることにしました。
ん?
ええ、走ることにしました。
1週間も走れるのでコース決めが肝です。
皇居を毎日毎日ぐるぐる走ってもいいのですが、それだと都内を出ません。
そこで頭に浮かんだのが中山道。
徳川幕府が400年前に制定した東京日本橋と京都三条大橋を繋ぐ約550kmの道です。
2年前に日本橋から長野の塩尻まで辿り着いて中断していました(だってここから交通網が一気に難しくなるのだもの)。
この風景が映画「君の名は」に出てくる町にも似ている気がして心奪われました。
ずっと京都に辿り着きたいと思っていました。
それで一気に走ってしまえば途中の公共交通機関のことを気にする必要もない、とのことでいざ中山道。
11月12日朝。
まずは電車に揺られて塩尻駅まで向かいます。
300キロを6日間で走る計画。
11月中旬なので装備も大仰に。
夏だったらもう少し軽装にできるのですが、
この時期の中山道は朝晩は0℃を下回ることもあるので死なない準備が必要です。
何度も悩んでタグを切り落としたりして絞って絞って重量8kg。重い。
これをひとつのバックパック(約35ℓ)に詰め込んでレッツゴー。
既に電車が旅情溢れます。
スタート地点の長野県塩尻へ到着。
ここから300km離れた京都へ向かいます。
己の足だけで。
駅の飲食店なのにハチノコやカエルなどなかなか
地域に根ざした季節料理を出しているのが印象的な塩尻駅。
少し走ると一里塚。
昔は旅人の目印として小高く盛った土の上に榎や松を建てていました。
それが一里(4km)毎にあったので一里塚と呼ばれます。
旧街道には現存しているもの、してなくて地名だけ残っているものなど数多くあります。
平出遺跡。
なんだかわからないけど藁葺き屋根の高床式住居のようなものが遠くに見えました。
時間があれば見学するのですが、1日目は電車移動の時間もありだいぶ先を急ぎます。
また来る日もあるであろう、アディオス平出遺跡。
塩尻はワイナリーがちらほら。
飲みたいところですが、また来る日もあるであろう。
アディオス。
次の宿場町、洗馬宿。
馬はいませんでしたが、きっとその昔洗ってたんでしょう。
中山道にはちょいちょい馬の名産地が出てきます。
こんな感じで見晴らしはいい。
家もある。でも人気があまりない。うーむ。
もうちょっと進むと本山。
そばの名産地。
そば切り発祥の地とな。
そば屋もあって食べたい気持ちに駆られるが先を急がなければ。
昔は関所は18時門限だったと聞きますが、18時過ぎの中山道はなかなか真っ暗です。
峠道もありますしね。
でもまだまだ午後の眩しい光。
西に向かっているから午後はずっと眩しい。
紅葉と西陽とTシャツと私。的な。
初日なのでまだ構図を考えて自撮りする余裕あり〼。
本山宿。静かな元宿場町。
さらに少し行くと、木曽路の始まり地点。
石碑が立ってます。ここより西は険しい木曽路に入ります。
島崎藤村で出て来ましたね。
木曽路は全て山の中である、の出だしで有名な「夜明け前」。
山に囲まれていて水が豊富&きれい。
至る所に水場があります。昔は食器や洗濯物を洗ったりしてたのでしょうね。
紅葉がきれいな山の中を一歩一歩。一走一走。
そういえばあまり人と会いません。
車もほとんど。
でもアスファルト道はあります。
駅もあるにはあります。
あるだけでホッとします。
11月は良いシーズン。この日は暖かったのでトレッキング日和。
駅にはちらほら人がいますが、道では殆どすれ違いません。
同じ方向に同じ速度で進んでるのかしら?
ひたすら前だけを見て走ると、贄川(にえかわ)。
かつては関所がありました。
藤沢周平の「帰郷」にも出て来ましたね。
なだらかな上りが宿場町に続きます。
本当にちょっとなんですが上ってばっかり。
この後本格的なトレイルもありますが、結局累積すると高尾山より高い1000m上ってました。
感動するくらいでかい木。
近くで触りたかったけど、やはり先を急ぐ。
年季ある木材の鳥居と新しめのなんて読むかわからない名前のコントラストが良い味だしてる、なんて読むかわからない神社。
ずっと向こうの山に向かって走ってる気がする。
近づいているのかいないのか。
やがて趣ある屋敷風の家が立ち並ぶエリアに。
ここは平沢。漆器で栄えた町だそう。
今も漆器屋さんが所狭しと数十軒軒を連ねます。
圧倒的漆器。
漆器って漆かぁ、かぶれないのかなぁ職人さんなんて考えながら。
どんな写真にも山が容赦なく映り込む。
ひとつお土産に買いたかったですがこの後300km、漆器を背負って走るのもなんだかなだ。諦めました。
本気になれば宅配すればいいのですけどね。
新しくした店もあり、ウィンドーショッピングだけでも楽しめる町です。
店前の風情がなんとも言えなく良い。
90%は道だけの街道ランニングで、こういった町に入るとテンション上がります。
そしてまた山に戻ります。
久しぶりに人とすれ違ったと思ったら学校。
こういうところで育ちたいなと思いました。
雪は大変そうですが。
丁度電車とすれ違います。
本数こそ少なく、駅間隔も広いですが、中山道は一部を除いて線路もあるので本気を出せば日帰りを続けて散策もできます。たぶん。
奈良井(ならい)駅。
奈良井宿はよくポスターや日本の原風景として広告で見ますね。
そうだ、木曽いこう。
この風景に出会うために僕は走ってきた。(まだ1日目だけど)
さすがに観光客の方が多いですが、
この日の奈良井は90パーセントインバウンド。
アジア圏でした。逆に欧米圏は次の日に会いました。
PR戦略の力の入れ方のバランスですかね?
すばらしい景色。
やはり水場があります。
奈良井を抜けると徐々に寂しくなり、
峠道に入ります。
こんな山道に。
この辺から熊の注意喚起半端ない。
橋の上で会ったらやだなぁ。
去年は夏に小熊と遭遇したので少し及び腰。
きちんと熊鈴持って走ってます。
これまた一里塚の跡。
上って上って、結局標高1197m。
結構あるな。
熊がために鐘はなる。
この鐘を鳴らすのはわたし。
一定の感覚に鐘が置いてあり、これを突いて熊を追い払って走る、の繰り返し。
入り口では学生の集団に会ったのですが、だんだん誰もいなくなり。
熊に狙われてる気がしてきました。
一番向こうのがそうかなぁ。雪がかかってないから違うかなぁ。
御嶽山は噴火事故もありましたが、古くから山岳信仰の対象だったようです。
東海道だと富士山だったりします。
木曾義仲が墨をするのに使った水。
澄んでます。さすがに飲まない。
飲んだら…そういう強者の話はたまにウルトラマラソンでは聞きます。
眼下にこれから進む町並みが見えます。
あとは鳥居峠を降りるだけ。
行きは見落としましたが、ちゃんと杖が用意されてました。
これがあれば熊とも闘えますね。
だいぶ暮れてきました。
18時までには宿泊先に着きそうなペース。
光の落ちた町に山々だけが色を持つ。
すごい景色だなぁと撮影してたらどんどん寒くなっていきます。
宮ノ越宿。
ちょっとしたさよなら渓谷になってます。
木曽川の流れ。
車を走らない道をひたすらに木曽福島目指してランニング。
薪があるおうちが。
あまりハイライトが長くなかった印象があるので逆に何が見られるのか興味あります。
が、先を急ぎます。
宮ノ越宿の本陣。地元の名士、世話役が参勤交代の殿様とか泊まらせていた場所です。
やはり水が命。
町の中も流れています。
せせらぎのような音が心地良い。
だいぶ焦る時間帯。
スピードが上がります。
ライトは持ってきてますが。
こんなところに、中山道の丁度真ん中地点。
僕の計算間違いで実は300kmより短かかった!なんてことは起こらずやはり計算通りの長さを走るしかない。(笑)
七笑という地名近くに相撲場のある公園。
味のある鳥居。この赤は歴史を経ないと出ない赤。
木曽福島に入りました。
シューズは足が浮腫むことも計算に入れてAltraのParadigm。
ラストの坂道を越えると、
有名な関所があり、跡地が公開されてます。
島崎藤村の作品にも登場する上の家。坂の上にあります。
福島関所の絵の前でパチリ。
暗くてもはやちゃんとわからないけど趣ある町並み。
今夜の宿、むらちや。
風呂に入って着替えたら、近くの居酒屋で地元料理。
この旅ではかならず地元の酒と料理を食べようと心に決めていました。
まずは馬刺しから。
そして豆腐料理。
最後に鳥の山賊焼。
デカすぎ。量が多いって止めてくれたのに強行した結果。
残しませんでしたが(笑)。
島崎藤村の原稿も飾ってました。
この居酒屋、和幸家さんは七笑酒造さんで教えていただきました。
https://www.google.co.jp/amp/s/s.tabelog.com/nagano/A2007/A200701/20005536/top_amp/
ビール2杯、日本酒1合で酔いも回って民宿へ。次の日の準備とストレッチをして崩れるように寝ました。
この日のランニング距離は45km。
明日は5時起きです。
②へつづく