太平洋to日本海ラン131km
ある日、日本地図を見ていてふと思った。
太平洋から日本海まで走るのに一番短いところはどこだろう。TJARを目指す、と言いながら持ち前のポジティブな性格で、全く逆のアプローチをしている今日この頃。
で、地図をどう見ても本州の愛知から福井までがウエスト部分で一番短くて楽そう。目算で120kmちょっと位。これなら土日で行けるだろうと、ちょっと近くのコンビニまで、な気持ちで。これが間違いの元だった。
と言うことで走ってきた太平洋to日本海ラン。
スタートは名古屋市水族館のある名古屋港。
北陸に行くので冬用装備をしっかり持ち土曜朝7時スタート。
冬はちょうど朝日がでる時間帯。
走り始めて港内の南極観測船ふじがまず目に入る。
旅路が始まった感あり。
天気は冬晴れ。気温もまだ6℃くらい。
予報はマックス13℃。
中川コロナワールド。
去年、東海道走った時もこのコロナワールドの前を通ったが名前のインパクトにいつもやられる。
仙台にもあったな。
蟹江という町を走り抜ける。
愛知でよく見るベトコンラーメンってベトナム戦争の部隊のことだと思ったらニンニクやら使っている健康増進ラーメンでベストコンディションの略らしい。
いつか食べてみよう。
蟹江の出口にある尾張温泉。
愛知随一の源泉掛け流し温泉。
川の上に跨って建つ不思議な建物。
この辺から徐々に文明から自然の比重が増えてくる。
津島神社前を右折。
愛知県は山車文化があるので、この縦長に独特な形の車庫もよく見かける。
木曽長良川を渡る。
大体ここまで20km。
暑い寒いがすぐ風で入れ替わるので服装には苦慮した。脱いだり着たり、袖まくったり、ベンチレーションしたり。
愛知県から岐阜県へと入る。
木曽長良川を過ぎると揖斐川。
養老町に入る。
基本山越えはないのでどの山の間を越えていくのか。
どんどんと山が近くなっていく。
養老駅前。ここまで50km。
居酒屋チェーンの養老乃瀧って、この駅を少し行ったところにある滝から名付けられたらしい。
そんな感じの駅前モニュメント。
養老ミート本店。
先週行った店でたまたまここの話が出たので偶然に驚き。
肉を買って背負えるわけでもないので飛騨牛の串を買ってランチ。これは美味しい。ベスト串オブザイヤー認定。
養老からは関ヶ原方面を目指す。
時々古い集落を通る。
学校の卒業制作。
この年の卒業生はかなり気合入ってる。
本州の中間部は水資源が豊富なことが多い。
水が町の中を流れていたり、生活の様子が見えると大体そう。
魚が描かれているということはやはり水と共に生きてる町なんでしょう。
上石津という地名が上白石ぽくて嫌いじゃない。
日もだいぶ傾いた頃に関ヶ原の町並が見えてくる。
この辺から「つらら注意」など雪シフトになってくる。
徳川家康最後陣地。65km地点。
そこから2kmばかり。
狼煙が上がっている当たりが関ヶ原の最終決戦場。
映画「関ヶ原」でも三顧の礼をもって迎え入れた島左近。その陣地が手前。その後方、笹尾山の上に石田三成陣地。ここで天下分け目の決戦が繰り広げられた。
石田三成陣地の前なのでだいぶ攻められた感有り。
近くにあるテーマパーク・関ヶ原ウォーランド。
ノーモア関ヶ原。
ま、よく考えたら戦場だもの。
ウォーランドは閉館時間後だったのが惜しまれる。
外から見える範囲でなかなか香ばしい。
次は行きたい。関ヶ原ウォーランド。
関ヶ原は世界三大古戦場らしい。
他は、
ワーテルロー(フランスのナポレオンのやつ)
さすが天下分け目の戦い。名を連ねてるとは。
世界三大スポーツ大会のように諸説ありそう。
(ラグビーワールドカップかツールドフランスかはよく議論になる)
大一大万大吉の旗印は石田三成。
ざっくりいうとOne for All, All for One。
映画「関ヶ原」では最後有村架純が岡田准一に向けて唱えている。関ヶ原での石田三成の愛され具合がよくわかる。
日が暮れてきて、気温も比例して下がってくる18時過ぎ。深夜行軍想定なので持ってきたヘッドライトを点灯。
そして3県目。滋賀県に入る。
とっぷり暮れている。
米原市長岡は源氏ホタルの里。
夏にまた走って通りたい場所。
時間的にはベストタイミングなのだが。いかんせん冬。いま光ってたら人玉しか有り得ない。
街灯もない道をヘッドライトを頼りに進む。
深夜のトンネル。
これはなかなか。
抜けたところに昔の横山隧道跡があるのだが、ただでさえ猿と野犬がいたのでもう……ね。
この辺に豊臣秀吉が幼少の石田三成と出会い、召し抱えられた観音寺がある。が、探さない。
あとこの辺にアウトドアファンなら堪らないNANGAがある。が、探さない。
闇が怖いから(笑)。
走り続けて85km。夕食は夜9時に滋賀と言えば近江ちゃんぽん。滋賀のちゃんぽんはね。ラーメンなんですよ、奥さん。
そのまま隣のインターネットカフェで小休憩。気温2℃なので身体を暖める。コーヒーを飲んで身体が動くようになったので
再び走り出す。
駅の方へアーケードが伸びている。が、朝5時なので何も開いてない。
曳山博物館がある。
すっごいうろ覚えだが確か豊臣秀吉の子孫誕生を祝って始まったのがここの曳山だったような。長浜も元々違う名で秀吉が治めた時に織田信長の「長」をとって長浜にした。と勝手に思ってる(笑)。
朝5時でなく、普通に来たい町。
しかしながら日本海を目指して北へ向かう。
90km地点。
夜明け前の長浜。
幻想的で美しい。
その美しい道に等間隔に隠れ侍。
夜明け前にはやめてほしい。
町を離れ、フィールドへ。気温2℃。
バラクラマ装備。
朝食。この後どこで食べられるかわからないのでコンビニで買い、時間節約のために歩き走りながら食べるのが基本。以前の尊敬する上司がローソンからの出向だったので基本ローソンしか行かない自分だが、フィールドではそんなことも言ってられない。あったコンビニに入るのがファンダメンタル(原則)。
夜明けの長浜。
画一的な町並みが不思議な区画。
琵琶湖の北端に向けて一本道。
街道ぽい蔵の町並みがでてきた……と思ったら
そんな町並みで一際異彩を放つ公民館。
ヤンマーの創業者の生家だったとか。
創業者の名前は山岡さんというのだが、
この町ほぼ山岡姓。プライバシーなき古き良き日本。
余呉川の河原道に合流する。この辺で名古屋港からちょうど100km。
この辺から琵琶湖一周ビワイチのコースに合流。ちらほら自転車旅を見掛ける。
賤ヶ岳の七本槍で有名な賤ヶ岳。
賤ヶ岳を抜けると琵琶湖の北端。まるで海だな。ここでゴールにしたいくらい(笑)。
だが、あと30km。
いくつかのトンネル。歩道があって良かった。
ないと山登りするところだった。
1000mほど続くトンネル。
トンネルを抜けると空気感が変わる。
日本海の天候。
突如10mmの雨が身を打つ。
道の駅、塩津街道あぢかまの里。
琵琶湖の小鮎をいただく。
塩焼きとてんぷらで合計600円也。
このエリアに来ると薪を備蓄している家が多い。そう言えばこの旅で薪割りをしている人を3人見た。北陸日本海側の冬は厳しい。
福井県へ。110km地点。
雨がさらに冷たく強く。
走っていないと正気を失いそう。
敦賀衣掛大橋。写真で見るよりかなり高い位置を走る。
いよいよ本降り。しかし降り出した雨が止まなかったことはない。
少しずつ雨雲が去っていく。
ラストスパート福井県の県境で肉離れしたハムストリングを引きずりながら。
日本海に到達。
太平洋から131km、32時間半。
シューズは昨年東海道も共にしたアルトラ。
パラダイム6。
バックパックはBlooper Backpacks。
llew35。
アップダウンはそんなにない(最高標高200m)はずだが、GPSウォッチは上昇2000mを記録。
そこまではなかった気はするが、スピードになかなか乗らなかったのも事実。
歩道がない車道も多いので時間帯に気をつける必要はあるが、総じて走りやすい道だった。冬は雪や凍結が激しそう。
海はロマン。
太平洋から日本海という過酷なコースの中では一番シンプルでやりやすいコースだったとは思う。夏場にテントを背負って走るなら関ヶ原や長浜NANGA近くにテント場もあるのでそういう楽しみ方もあり。
走るだけでなく、景色、食べ物、文化全てが楽しめた旅であった。(了)