テツ@ランニング・ガイ

年間4000キロをランニングするスポーツマーケティングプランナーの野ざらし日記。

激走!中山道315km③岐阜中津川〜愛知犬山(65km)

午前4時。

共同部屋で誰も起こさないように前日準備を終えたカバンを持って、そっとダイニングスペースへ。

この日は中山道65kmと最長の行程。

前2日で100kmを走った身体は重い。

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外は予報通りの大雨。雨装備をしっかりとして外に出ました。

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漆黒の闇の中、ポツリポツリと街の灯りが優しく光ります。
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600ルーメンのライトを付けて走り出します。
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一里塚。

登り坂が細かくある。

普段なら大したことはない坂ですが今日は堪えます。


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雨に濡れた中山道
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どうにも調子が出ない。歩くのもきつくなってきました。まだ60km今日は走らないといけないのに。
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そんな精神状態でも、そんな状態だからこそ写真だけでも残そうと撮影を続けます。

防水ケースに入れていたため、写真がクリアでなくてすいません。
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中山道は人気の少ない住宅地の中を縫うように進みます。
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恵那市へ入ります。
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恵那市のきのこセンター。f:id:tetsu-sports:20200116232945j:image

また急な坂を登ります。
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登り切ったところで力を使い切り。

身体も震えて、変な汗が出てきます。

ここでリタイヤか。そんな気持ちが心も支配します。
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しかしリタイヤしようにも人気のない山奥。

町に出ないことには辞められません。

 

本当に笑えない旅人の墓。
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坂を下るのも力が入らなくなってきました。

そんな中、大井宿にたどり着きました。
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脳に力が入らない中、ぼんやりと見える景色。

のれんのデザインが素敵だなぁ、と。
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のれんコンテストを町を挙げてやっていました。
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近くの神社でトイレに入らせてもらい、

少しそれで体調回復。

もう少しだけ先に行こうと橋を越えます。
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少しずつ交通量も増えて安心。
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氾濫する川から町を守っていた浸水防止壁。

今は川の流れを変えたらしいです。
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西行がここに留まり、墨をするための水を汲んだという西行硯水。
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なんの事前相談もなく、いきなり峠。

十三峠。

そしてこの立派は石碑の右にある小さな手書きの破れそうな紙。

「ここから30km、山道で、商店も食べるところもありません」との記。
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しばらくこの前でその意味を反芻する。

30km?

この体調で?

飲み物も食べ物もない?

 

食べ物はトレイルバターが3袋ある。(2100kcal相当)

大丈夫。

問題は水。300ml。

戻って買うべきか。

結論は雨なので、なくなれば葉っぱの水が飲める。実際木の葉に口をつけて飲みましたよ。

 

それで進むことに決めました、30km続く十三峠。
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延々とトレイル道を行く。

アップダウンはあるが走りやすい道。

誰ともすれ違わない。
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途中途中アスファルト道に入るが往来はない。

ポツンと一軒家にでそうな人気のない民家が現れるのみ。
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電線はある。でもポツンとひとりランナー。
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これでも中山道

400年前はどんな道だったのであろう。

中山道はその後幹線道路や鉄道になったところは多いが、この区間は完全に開発から取り残されています。

だからこそ残っているものがあり、昔の旅人が見たであろう景色を目に刻むことができます。
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それにしても人が…いません。

この辺から幻覚幻聴が現れ始めます。

歌いながら来る宇多田ヒカルとか。

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一里塚の名残り。
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ぼたん岩。珍しい石らしい。
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熊でなく、スズメバチ注意、

夏でないのが幸い。
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中山道道標。
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道はしっかりと舗装されています。

でも車が通る感じでもない。
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一里塚。4km進んだということを一里塚毎に認識します。
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そしてまた森の中へ。
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しばらく熊の音沙汰を聞かないと思ったらやはりありました。

出そうな雰囲気。
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長い長い山道を越えると目の前に人家の屋根。
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大湫宿。おおくてじゅく、です。
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確かに商店はないですが人がいる安心感。
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まるで砂漠に現れたオアシスのようです。
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集会施設もあり、人の息遣いが聞こえます。

自動販売機もひとつあり、コカコーラに感謝です。
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干し柿のある風景。
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開発から残されたからこその風景と重みのある町。

自分の足でしかたどり着けない風景です。
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秋の名残です。
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高札場。昔の掲示板のようなもの。
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巨大な岩。

木曽路名所図会にも描かれた烏帽子岩
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母衣岩。不思議な光景です。

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再びの峠道、琵琶峠へ。

すれ違った中山道の旅人が、ここは高低差は大したことないが滑るので気をつけなさい、と教えてくれました。
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確かにつるりつるりと滑る石畳。
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開けた場所に出ました。

日が照ると暖かく。

脱いだり着たりの繰り返しです。
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山の中腹に警察犬の養成所がありました。
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中から野太いワンワンという声が人気のない山道に響き渡ってました。
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たぶんこの辺車のレース場か試走コースがあるようで、車の爆音も響き渡ってました。
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なんとも言えず味のあるバス停。

山の中の弁天池。
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再び町に。
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ないと言われていた商店が1つだけありました。

何とも言えず懐かしい感じ。

営業時間もわからないですし、確かに商店がないイメージで挑んだ方がこの区間はいいです。
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棚田を見ながらアップダウンを繰り返します。

体調はもう暑かったり寒かったり、上がったり下がったりで訳のわからないことに。

好調ではないんだけれども、不調でもない、そんな感じです。
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十三峠の入り口から30km近く、まだまだ山道です。
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細く曲がりくねった中山道を行きます。
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ポツリポツリと民家も。
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中山道を挟む工場風の建物。
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このでかいパイプみたいなのがこの辺りにはたくさん畑に転がってましたが何に使うのかしら。
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バス停まで現れる!文明が!(笑)
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耳がよくなる耳神社。
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もう無限に同じエリアを走っている世にも奇妙な物語の世界かと思う。
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そして遂に十三峠で見た手書き注意看板の逆側に!

同じ人が書いたのかしら。

これがなければもっと酷い山行になってました。

覚悟をくれた殴り書きです。
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市街地はまっすぐな道が続く。

平野ラブ。
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何か小高い山。

周りが平たいのでここだけやけに目立ちます。
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久しぶりの商店街。
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御嵩宿。

明智光秀の出身地にほど近い場所です。
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立派な資料館がありました。
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館内。旅の諸注意が書かれてます。
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御嵩駅前。

30km公共交通機関のない山道からここへ出てくると不思議な感覚があります。

ほっとしたらお腹がどっと減ってきました。
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可児才蔵。

明智光秀の家来で、最強の武将とな。

初めて知りました。大河出てくるかな?f:id:tetsu-sports:20200116232740j:image

肉屋で揚げ物三昧。

昼を食べるところもなく、ずっとずっとトレイルバターを吸ってました。
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御嵩からすぐの伏見宿

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この辺は地名も明智とか、可児とか。

大河が決定しているので盛り上がってました。
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日も傾きかけます。まだ10km行かなくてはいけません。
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中山道の太田宿。
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良い感じに暮れて行きます。

ここで近所に住んでいるという人に会いました。

名古屋から毎日70km走って東京を目指したことがあるそう。小田原で足を怪我してリタイヤになったとのことですが。

どこにも変態ランナーはいます。勇気づけられます。(笑)
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完全な闇に。

この後、日本ラインの河原を走りましたが、暗すぎて全く写真にならず。

水の流れる音だけ聞こえます。
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最後の5km。車の交通量だけ多くて歩道も殆どない道を。

昼だったら山道のショートカットがあったようです。

 

夕食、台湾ラーメン
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鵜沼宿の少し手前で橋を越えて愛知県へ。

宿泊は犬山城のある犬山へ。
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元お寿司屋さんのゲストハウスに宿泊しました。

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65km。こんなにきつかった日はないです。

日テレで3徹した時も、ラグビーワールドカップの開幕を蕁麻疹を薬で抑えながら臨んだときも、これほどではなく。

例えるなら38度の熱を出して結果的にインフルエンザだった時、野球部の練習をやっていた時の同じような感じ。

それが時間が3倍くらいあった感じ。

常に喉と鼻の奥が熱く痛い、そんな一日でした。

 

くたくたで何とかシャワーを浴びて寝てしまいました。

旅中でこの日だけ居酒屋で地酒乾杯できず。

もっと走力をつけないと駄目だと思い知らされました。あと155kmで京都です。

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つづく